第46章

幼い頃から両親を亡くし、人の軒下で育った彼女は、早くから自立することを学んだ。

そして、自立した人間がどうして簡単に折れたり、弱みを見せたりする習慣がつくだろうか?

矢野純平は彼女の気が進まない様子を見抜いたようで、続けて言った。「これもあなたたち夫婦の生活のためだ」

そう言って、彼は水原遥の肩を軽く叩き、励ましの意を示した。

矢野純平の言葉を聞いて、水原遥も自分からもう少し弱みを見せてもいいかもしれないと気づいた。

彼女が顔を上げて少し離れた場所を見ると、見覚えのある姿が目に入った。彼女の目が輝き、矢野純平の方を向いて言った。「知り合いを見つけたわ、ちょっと行ってくるね」

水原...

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